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ナカイ健康姿勢研究所所長 中井 均
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●前2回までの概略
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ヒトは、悪い姿勢が習慣になると、痛みや冷えを体内に抱えるようになり、その後は様々な症状を起こすようになるので、正しい姿勢を保つことが重要です。
その悪い姿勢は、片足体重が原因であり、片足体重の習慣になると、骨盤が傾き、その上に立つ背骨も傾いてしまい、悪い姿勢が固定してしまいます。
なぜかといえば、片足体重が続くと、脳の平衡器官が姿勢の傾きをキャッチしてそれを筋肉に連絡し、連絡を受けた筋肉は緊張/弛緩して骨格を悪い姿勢に合うように変えてしまうからです。こうして片足体重に脳の平衡器官が連動して作用し、悪い姿
勢が固定することになります。逆にいえば、片足体重を正す→脳の平衡器官がキャッチする→筋肉を正す→骨盤/骨格を正す→姿勢が治る→症状が消える──という良い連動現象が体内に生まれると、患者さんの痛みや冷えは自動的に解消していきます。
ここで御紹介している治療は、この連動した働きに着目した治療法なので平衡器官連動療法という名がつけられることになりました。
また、治療装具として、体軸安定・股関節保持に役立つ「ヒップバンド」を着用することは、片足体重の修正に、有効・迅速に働きます。
私は、前回までに以上のように小論を展開してきましたので、今回は片足体重という現象がなぜ生じるのかについて述べることにします。
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●片足体重はなぜ発現するのか
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では、ヒトはなぜ片足体重になるのでしょう?
それは右利き・左利きのクセがあるためです。
ヒトは、歩く・投げる・拾う・打つなど全ての生活行動の際に、右利きのヒトは、必ず右足に体軸・重心を移し、言い換えれば、体重を右に移動させることによって、右の手足から行動をおこします。
地球上で活動するヒトには強い重力が絶えず作用していますから、その重力に抗するには、右利きのヒトは、どうしても右への体重移動が必要になります。これは、ヒトの宿命ともいえましょう。
ヒトは、体重移動にともなって、体軸・重心を常に前後左右に移動させるので、広範囲の生活動作を行えるようになっているのですが、反面で、無意識のうちに体重を右足のみに負荷するクセをもつようになってしまったと考えられます。
そのクセが続けば、体重が負荷され続ける右側では、右股関節の骨頭を起点にして骨盤を前と左に傾けざるを得なくなります。
即ち、
右足体重がクセになって固定する。
↓
平衡器官に連動して骨盤が左に傾く。
↓
脊柱が右に傾く。(右側湾)
↓
左の上下肢は無意識のまま、右側の動きにつられて本能的に動く。
─こういう経過をたどることによって、右足体重を引き金にした悪い姿勢も固定することになります。
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●骨盤の傾きを脳がキャッチする
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右足体重がクセになると、関連して骨盤が左傾するという事実は、自分で試してみて確認できるので、実際に行って確かめて下さい。
ここでは、現代人に多く見受けられる右足体重を説明しますから、説明にしたがって試してみて下さい。
まず、立位で右足に体重の乗った「休め」の姿勢をします。
右足に体重を乗せて左足を軽く前にだすと、右足体重の完成です。
この右足体重の姿勢は、次の図4を参照にすれば、次のように理解できます。
正面から観察すると、
a.骨盤線は右上がりになって、骨盤は左に傾く。
b.脊柱は、左側に凸に湾曲し、肩高線は右下がりになる。
c.首〜頭部にかけては右傾する。
d.このとき、右足には体重の80%〜85%がのしかかり、左足はつっかい棒程度の役割しか果していない。左足はブラ下がっている状態に近いといえる。
─「どうしてa〜dのような骨格変化が生じるのか」といえば、右足体重によって骨盤が左傾した結果、体軸と重心線がズレてしまい、それをキャッチした平衡器官(三半規管および耳石器)が、その事実を脳に連絡するからです。
連絡を受けた脳は、四肢の筋肉を緊張/弛緩させ、骨盤の傾きに応じた骨格・姿勢を作りだし、本来の正しい姿勢をb〜dの形に変えるように指示します。
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図4 右足体重の骨格の特徴
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●姿勢にも自然治癒力は働く
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これが平衡器官との連動ということなのであって、それを踏まえた治療法なので、「平衡器官連動療法」という名前がつきました。
脳の平衡器官の仕組みの概略は図5にある通りで、私は、「古今東西の手技技術は、平衡器官の自動調節機構を、知っていながら忘れている」と見ています。
ここに着目すれば、治療は、簡略に済まされるはずなのに、忘れているために、治療技術は際限なく複雑・精緻なものにならざるを得なくなってしまいました。
自然治癒力というものは免疫物質やホルモンにおいてのみ実現されるのではなく、骨格・肢位・姿勢についても、平衡器官によって確かに実現されています。
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図5 平衡器官の仕組み
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●片足体重現象
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片足体重では特有の症状が現れるので、そこに注目することによって、その患者が右足体重なのか左足体重なのかを、簡単に判別できます。
次回は、その解説から始めます。
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