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ナカイ健康姿勢研究所所長 中井 均
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●前回の内容の概略
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前回(1)は、姿勢悪化の原因は片足体重にあるとし、片足体重にともなって、骨格にどのような変化が生じるのかを、図2と共に(1)〜(4)段階まで、変化の段階を述べました。
また、体軸安定・股関節保持のための「ヒップバンド」を着用して、多くの方々が、腰痛・肩コリ・冷え等の症状から解放されているデータも紹介しました。
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●片足体重による姿勢の変化
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さて、前回述べた片足体重に伴う骨格・姿勢の変化のプロセスの続きを、(5)段階から解説します。
片足体重に伴って骨盤・背骨が傾くまでが、前回述べた(4)段階までの変化でした。
それに続く(5)段階からは、次のようになります。前回(1)に掲げた図2も見ながらご理解下さい。
(5)片足体重側の身体内部に、姿勢の傾きと体重とによって、圧迫と押しつぶし作用が、ズシリと負荷され続けることになり、その側に局部的に血流低下・体温低下・神経機能低下が生じる。
↓
(6)そうした部位には、局部的に「圧迫感・コリ・冷え・痛み」が発生する。
↓
(7)こういう部位は、本格的な病気の下地となり、やがて急性/慢性の症状につながっていく。
─という段階を経過して身体が悪化します。多くのプロの治療家も同意なさることと思います。
この片足体重に伴う変化に対して、私は、患者さんに体軸安定・股関節保持の働きをする「ヒップバンド」を装着してもらい、慢性化していない方についてはその場で、慢性化している方については短期間で、片足体重や骨格の歪みを解消するようにしています。
当然、出発点の(1)段階を解消したのですから、(6)(7)段階の症状は迅速に解消することは、前回の図1に紹介したデータにある通りです。
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●従来の治療技術での対応
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片足体重に伴う身体内部の変化を、前回から今回にかけて(1)〜(7)段階に別けて述べましたが、この変化に対して、鍼灸治療・整体・指圧等の従来からの治療法では、どのように対応するのかを、以下に検討してみましょう。
A.骨格矯正関係の療法であれば、脊柱あるいは骨盤あるいは股関節の矯正・調整から治療に入ります。前記(4)から治療に入ることになります。
B.鍼灸・指圧・マッサージ・按摩関係の療法であれば、経絡・ツボ類・筋繊維の方向に応じた治療点に処置をし、まず筋肉の不正・血流低下を正すようにします。
上記(5)から治療に入ることになります。
C.その他の整体療法であれば、四肢の関節を操作するか・させるかして、骨格の変位や姿勢のアンバランスを解消することから治療に入ることになります。これは、前記の(1)(2)(3)(4)を同時に解消させることから治療に入っています。
当然、上記A〜Cの諸療法には、素晴らしい効果があります。
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●治らないケースが出てくる
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しかし、問題はここからです。
1.治療直後は(1)が正され、(2)〜(4)が改善されるのに、短期間のうちに元の悪い片足体重状態に戻ってしまうケースがある。
2.したがって、何日かおきの治療を長期にわたって続けなければならなくなる。
3.(6)(7)については、治らないケースも出てきて、他の違う療法を併用してみるようなことになる。
─となり、再発も少なからずあって、自分の技術に不安を感じたり、患者さんからの信頼がゆらぐこともあります。
「患者さんの側に、(6)(7)に進んでしまうような悪い生活習慣があり、それが長年蓄積したのだから、人によっては、上記1〜3のようになるのは止むを得ない」と、考える治療家も少なくないはずです。
しかし、こういうことでは「手技治療の受け持てる範囲は小さく、病院医療の補完に過ぎない」と指摘されても仕方ないことになってしまいます。
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●骨盤の傾きと平衡器官が連動
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この指摘に対して、私は「手技治療は、身体の自然さに則しており素晴らしい。もしも厳しい指摘があるとすれば、技術の上手下手を別にして、(1)→(7)へのプロセスに見落としがあるのではないか」と考えました。
考えたきっかけは、視力と姿勢の関係に気づいたことでした。
治療家であれば、どなたも次のことは良くご存じのはずです。
イ.重い脳の発達した直立二足歩行の人間は、四足動物にくらべると重力に対して姿勢保持に不安定さがある。
ロ.人間は、その不安定さをカバーするために骨盤部の筋肉・骨格を発達させ、骨盤部は身体の土台・中心となった。故に、骨盤が傾くと姿勢が悪化し、やがて疾病につながる。
ハ.しかし、現代人は運動不足のために筋肉・じん帯組織の支持力が低下して、特に身体の土台であり様々な負担のかかる骨盤部が傾きやすくなった。
そのため、姿勢も悪化した。
ニ.ストレス・寝不足・過食・偏食・外傷・過労も、上記ハに影響する。
このイ〜ニを踏まえて、平衡器官連動療法は、「人はなぜ片足体重になるのか」「片足体重になると身体内部にはどんな影響が広がるのか」「それは疾病とどういう関係にあるのか」ということを徹底的に解明してきました。(1)〜(7)にある通りです。
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●重心線と体軸
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まず、「人の姿勢保持のためには、どんな仕組みが体内で働いているのか」を、検討してみましょう。
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図3 人間と四足動物の重心
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図3にあるように、四足動物には重心線が2つあって、体軸は広範囲に自在に移動させることができるのに対して、ヒトには重心線も体軸もそれぞれ1つです。
ですから、ヒトは1つの重心線と1つの体軸とが、ほぼ合致して1つになっていないと倒れてしまいます。
倒れないようにするためには、体軸が重心線に対して傾きすぎていないかどうかを、絶えず脳内のセンサーでチェックする必要があります。
脳内のセンサーとは、具体的には、平衡器官(耳奥の三半規管と耳石器)を指しています。
そして、平衡器官が働いて「体軸が右前側に傾きすぎている!」と感知すれば、直ちに脳に知らされ、脳は神経を介して関係のある筋肉を緊張/弛緩させて骨格を動かし、身体全体として体軸を重心線に合致させるようにします。
即ち、ヒトの姿勢は「平衡器官・脳」およびそれに連動する「筋肉・骨格」によって保持されています。
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